名も無き市民の会は「労働、経済、外交、安保」政策などに取り組む民間有志のシンクタンク型市民団体です。

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行に鑑み 即時の大型減税と財政出動を要請する事務局長・執行委員長声明

令和2年3月10日

名も無き市民の会事務局長・同労働組合執行委員長 藤原興
名も無き市民の会事務局グループ
名も無き市民の会労働組合執行委員会

 本声明は、現在中国を筆頭に世界的に蔓延している新型コロナウイルス(COVID-19)の流行状況を鑑みて、今後予想される経済的混乱に対し、政府・国会をあげて早急に大型減税・大型財政出動を行うよう要請する声明です。

 新型コロナウイルスの影響による経済活動の縮小は、すでに各種メディアでも報じられ始めておりますが、観光業、イベント興行、小売接客業を中心に抜き差しならない状況に陥っております。経営体力のない中小企業では本年三月の給与支払いめどの立たない企業もすでに散見されるようです。しかしながら、現在の国会議席の状況は、「緊縮財政」を基本信念とする公約を掲げた議員が大多数であるのは明らかであり、事の重大性に比較して、経済対策が後手に回る可能性が非常に大きいと言わざるを得ないでしょう。

 私たち「名も無き市民の会(以下、名無し会)」は、現時点での会員関係者たちで議席を有しているわけではないため、国会に対して直接の影響力は皆無ではあります。ですが、これから地方議会選挙を中心に選挙に取り組む活動方針をすでに提示しているため、この声明をもって、名無し会の勢力を議会に据える具体的意義を再認識いただける機会と判断し、事務局長声明として発する次第です。

 現時点で、名無し会事務局グループが政府・国会に対する要請は以下4点です

 超大型減税と超大型財政出動の実施(年金等社会保険料の1年分全額免除)する事

 現時点での国会議論で経済対策として耳に入ってくるのは、事態の深刻さに比してわずかに「借入」を保証するものなど、非常に脆弱なものばかりであり、社会不安を払しょくできるものとは到底思えません。

 日本の政治史上においてもっとも大規模の「減税」と「財政出動」を要請します。

 ただし「疫病」蔓延という事態であるため、安易な消費の煽りというよりは、企業側と労働者、消費者の三方にわかりやすい優遇となる必要性が高く、具体的には年金や社会保険料などの「社会保障」のために徴収される税金に関して、すべての企業と国民に対してこの1年分を全額免除する事で、国民全体に「安心感」を与えるものとしてまとめるよう要望します。

 国立感染症研究所への予算を米国CDC並みに増額する事

 すでに報じられていることですが、日本の国立感染症研究所は相次ぐ予算削減で、2020年度の予算は64億9600万円にとどまりました。これは米国にて同機能をになう米国CDC(国立疾病予防管理センター)の約1兆3000億円という予算に比してありえないほどに少額・小規模のものです。コロナウイルスに対する国民不安の解消と、日本の科学技術発展のためにも、早急に米国CDCと同規模の予算を国立感染症研究所に対して割り当てるよう要望します。

 医師、看護師、介護福祉士、保育士等、「最後まで感染リスクの高い現場に出向く必要のある職業」の者に対して、国から特別手当を支払う事

 すでに多くの学校が休校となり、大企業中心にテレワーク導入などが実施されていますが、このような「外出を控えるように」という政府要望に従うことが根本的に不可能な職業として挙げられるのが、皮肉にももっとも感染リスクが高いと思われる「医師、看護師、介護福祉士、保育士」などの医療福祉の現場職業の方たちです。

 もしこれ以上感染が広がれば、こうした医療・福祉現場の人々の職場放棄も考えられるため、政府も国会も事前に「絶対に医療福祉の現場を崩壊させない」という強い取り組みの意思を示さなければなりません。

 そのためにも、こうした状況下にあって最前線で医療福祉を支えている現場職の方たちに対して、国が「特別手当」を予算計上し、賃金に反映させるよう要請します。

 間違ってもこれらの経済施策にあたって「あらゆる意味の<増税>」をしない事

 災害時、不況時の経済政策において「減税」と「財政出動」をおこなうのが最善の解決策であることは、マクロ経済政策の教科書を持ち出すまでも無く常識です。ですが、実際の日本においてはこれと真逆の「増税」が行われてきました。2011年の東日本大震災における「復興増税」や、経済減速期に財政再建を名目に行われた1997年の「消費税増税」などがその代表例です。

 その結果は、「失われた10年」が「失われた20年、30年」に長引くという、惨憺たる事態を日本経済にもたらしました。

 1997年の消費税増税を行った際の総理大臣である故・橋本龍太郎氏は、その後の不況を悪化させた責任を痛感している旨をテレビや選挙演説で語ったことは、政治話題に詳しい向きには有名なエピソードです。しかしながら、真摯に反省を述べた橋本氏はその後の政界で影響力を取り戻すことはできないまま引退・他界され、現在までこうした政策は転換されておりません。

 当然、①から③にあげたような経済政策の実施に当たって「大規模な増税」を平然と主張するであろう国会議員は現在も多数おり、予断を許しません。

 これらの施策にあたって、あらゆる「増税」を行わないことも、併せて政府・国会に強く要望する次第です。

 最後になりましたが、新型コロナウイルスの災禍が一刻も早く収束するのを願いつつ、今後の日本の経済混乱への対策や防疫体制の強化に関して、政策集団である名無し会として誠心誠意取り組む所存です。

 また、本声明は、その試案段階において名無し会の姉妹団体である「名も無き市民の会労働組合」の組合員から多数の支持を得ましたため、名無し会・名無し会労組の共同声明としてここに発します。

(以上)

事務局長声明003

https://www.nanashikai.org/wp-content/uploads/2020/03/事務局長声明003.pdf