名も無き市民の会は「労働、経済、外交、安保」政策などに取り組む民間有志のシンクタンク型市民団体です。

新型コロナウィルス(COVID-19の世界的流行に際しての名も無き市民の会関西支部より合同緊急声明

令和2年4月9日
名も無き市民の会関西支部
関西支部長 永觀堂雁琳

 本声明は、新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的流行による経済的打撃を鑑み、名も無き市民の会関西支部(以下、名無し会関西支部)より中小企業および小規模事業者への緊急支援策を要請するものです。新型コロナウィルス流行に際して大型減税・大型財政出動を要請する緊急声明は、3月 10 日に既に当会及び労働組合より既に発表されております。前回の声明においては、①市民生活及び各種事業者への支援策として(社会保障のための諸税を中心とした)超大型減税と景気振興のための超大型財政出動、②防疫の中枢を担う国立感染症研究所への予算出動、③ 医師・看護師・介護福祉士・保育士など「最後まで感染リスクの高い現場に出向く必要のある職業」に従事する者に対する国からの特別手当、④いかなる形においても増税を行わないことの四点を要請するものでありました。本声明は、特に中小企業の集中する関西地方において地域経済に即した緊急支援策を追加して要請するものであります。

 新型コロナウィルスは日毎に世界を席捲しており、我が国でも数日で感染者数が急増し首都封鎖が噂されるなど、抜き差しならない緊急事態を迎えております。それに対して政府は無責任にも個人や各企業の「自粛」を要請する一方で国民生活に対する即時の補償をなさず、肝腎の減税措置や中小事業主への給付金交付・雇用調整助成金に関しても議論の時点で既に遅々として進まない状態にあります。現在検討されているその他の施策を見ても観光や飲食で使用できる商品券やク ーポン券を配布するなど逼迫する中小事業者にとってはおよそ無意味に等しい方策ばかりであり、中小企業と小規模事業者にとって切迫した課題である消費減税をほとんど検討すらしない姿勢は不誠実としか言いようがありません。即時に外出禁止や営業停止を命令する代わりに労働者と事業者に対して広範な補償措置を行った英仏のような諸外国に比べても、我が国の経済対策は無為無策と言っても過言ではありません。

そこで、次期統一地方選を目処に選挙に取り組む決意を固めている当会関西支部として、国と地方自治体に対して「即座に」施策を要請する声明をここに発表致します。全国的に見ても中小企業および小規模事業者の集中する関西地方の特色ある地域経済の現状を鑑み、また今後の感染拡大により都市や地域の閉鎖命令が発令された際の緊急事態を目して、特に関西支部より声明を発表する次第となりました。当会は現時点で会員関係者が国会や地方議会にて議席を有している訳ではありませんが、このような未曾有の国難に際して当会が国会及び地方議会に議席を有することの意義を国民の皆様に認識して頂ければ幸甚であります。

 当会は、施策に当たって「個人ないしは事業主からの申請が不要である」点が何よりも重要であると考えます。これは不要な事務手続きや混雑による遅延を減らし、各事業者に迅速に対策が行き届くことを何よりも優先すべきであるからです。前提として、以下の施策を各種事業者が無申請にて受けられるようにすべきであると当会は考えます。

 名無し会関西支部よりの要請は、大きく分けて次の 10 点です。元々資本金が少ない中小企業や事業主にとって、この度のような消費の冷え込みは倒産の恐れを招く重大な事態です。そのため、これらの施策を一刻も早く受けられるべきであります。

<① 国・自治体による家賃免除>

 特に飲食店など零細事業者にとって売上の低迷する中において家賃負担は経営に重くのしかかってきます。このような情勢においても経営を継続できるよう当面の家賃負担を回避できる措置を求めます。

 また、個人においても生活に必須な衣食住の中でも生活の質に大きくかかわる住居の確保を保障するために、家賃の支払いができないことにより住居を失うといった事態を回避すべく世帯の構成人数に応じ一定額までの家賃を免除することを要請します。

<② 国・自治体による水道光熱費の全面無償化>

 申請主義に基づく補助金は情報格差による不公平を招き本当に必要な人へ支援が届かない危険性があります。そのため申請の必要がなくあまねく国民に対し即座に効果を発揮しうる水道光熱費の全面無償化を求めます。

<③ 回収出来ない売り掛けに対するつなぎ融資の保証・買掛金支払いの為の無利子無担保融資>

 売り上げ低迷の続く中、特に企業体力の乏しい中小企業には売掛金の未回収は即座に死活問題となります。運転資金枯渇による連鎖倒産を防ぐため政府保証による未回収の売掛金に相当する額の融資、また焦げ付きを事前に回避するための買掛金支払のための無利子無担保融資の速やかな拡大を求めます。

<④ 銀行・信用金庫など民間金融機関での借り入れ支払猶予>

 これも売り上げ低迷の環境が続く中で運転資金の枯渇を回避するために、また貸しはがしなどによる倒産の発生を防ぐためにも、民間金融機関からの借り入れに対して支払い猶予期間を設定し中小零細企業による雇用を守れるよう対応を求めます。

<⑤ 事業者による消費税納入の猶予>

 国内販売事業者にとって消費税の納付は経営に重い負担となっています。税率の改定等の議論には時間を要することもあり、まずは当年度の納税期日を繰り延べし、中小企業の経営体力を毀損せずに事業を継続できるよう求めます。

<⑥ 法人税支払い免除>

 事業環境の悪化の中、経営状態を問わず生じる法人住民税について免除を求めます。また中小企業については雇用確保の観点から法人税、法人事業税、地方法人税についても減免もしくは支払いの猶予を求めます。

<⑦ ガソリン税の減免及び自動車税支払い猶予>

 地方において大都市圏以上に自動車は生活インフラの根幹を成す存在です。事業においても自動車の存在は不可欠なものです。そのためにもガソリン税を減免することで負担軽減を実現できるよう求めます。

 同時に自動車税についても、特に多くの自動車を保有する流通事業者が余裕を持った経営を行うことでコロナ罹患を隠して働かせるなどの事態を生じさせないために支払い猶予を求めます。

<⑧ 雇用保険・労災保険支払いの免除>

 事業環境が悪化する中で、雇用を継続し事態鎮静化後の再生を速やかなものとするため事業主にとって負担となる雇用保険、労災保険の支払い免除を求めます。

<⑨ 国産農水産品の販路斡旋>

 インバウンド消費の低迷や外食自粛に伴う消費減少により国産農水産品が消費されずに余るという事態が生じています。この事態による農家、漁師等生産者の生活を守るため、また第一次産業の雇用を守ることで将来にわたる食糧供給を確保するため、国産農水産品の自治体による販路斡旋を要請します。消費されずに価格の低迷した農水産品をスーパーマーケット等に販売斡旋し、生産者には通常販売価額との差額を補填する形で消費を促す仕組みを求めます。

<⑩ 法律相談窓口の拡充>

 緊急時における労働者への対応等含め法的な相談の必要性は緊急時にこそ高まります。しかしながら事業者が法的な相談をできる窓口が数的に確保できていない問題があります。法的な支援の拡充は当然として、必要とする事業者がそこへきちんとたどり着けるよう相談できる窓口の拡充を求めます。

(以上)

関西支部声明

https://www.nanashikai.org/wp-content/uploads/2020/04/関西支部声明.pdf